「さぁ,どうしよう!インターネット諞」の紹介
★このレポートは,メディアリテラシー教育研究会中部支部の検討レポートとして作成したものです。
 「さぁ,どうしようシリーズ」
 本校では,いのちの学習の中に,「セルフディフェンス」の領域をとりあげている。 このシリーズは,「誘拐編」「電話編」「勇気を持ってNO!と言おう」「ケータイ編」「性被害編」そして,この「インターネット編」の6つになっている。
 今回の授業では,ネット上の危険とマナーについて学び,自分の心とからだを守り,他人に迷惑をかけないために,責任を持ってインターネットを使用していくことの大切さを,子どもたちとともに考えた。
 授業全体を,パワーポイント教材と「ネット社会の歩き方」という教材で進めた。
授業の導入では,子どもたちに,インターネットの楽しさと危険性についての意見を聞き,『インターネットを使う時,被害者にも加害者にもならないため,どんなことに気をつけるのかを学習しましょう』と本時のめあてを示した。
 第一話「わくわく!無料プレゼント」個人情報は,売れられているよ!
 「ネット社会の歩き方」の教材を使用して,ムービーを見ながら,授業を進めた。ムービーをところどころ止め,子どもたちにあれこれ予想させながら進めた。『まずは,ダイスケ君の場合を見てみましょう。(無料プレゼントに応募したらダイレクトメールや電話がたくさんくるようになった話)
 『では,続きを見てみましょう。(キャラクターカードを待つダイスケ君のもとには,たくさんのダイレクトメールと電話がかかってきた)。ダイスケ君の家にダイレクトメールがたくさん来たり,電話がたくさんかかってきたよね。』

 ここで,ダイレクトメールを知らない子がほとんどであったため,実物で説明した。,電話セールスについても,補足説明した。『おうちに,塾のパンフレットが送ってくることあるよね?それから,家庭教師します,とかって電話かかってくることあるよね』という説明に,「あー,あるある。なんで,5年生こ子どもがいるって分かるんだよって思う。」などの声が上がった。 
 どうして,たくさんのダイレクトメールがとどいたり,電話がたくさんかかってきたのでしょう?ダイスケ君が応募したプレゼントとどんな関係があるのかな?子どもたちからは,「応募した人の電話番号に電話をかけたり,手紙をおくったりしているんじゃないか」という内容の意見が多く出てきた。応募者個々へ,その会社がダイレクトメールや電話をかけている,等発想から向けることができなかった。そこで,教師用コンピュータから,ネット上の無料プレゼントの応募フォームを見せて説明した。
 『いろいろなことが考えられますね。これは,インターネットにあるプレゼント応募用紙です。どんなことを書くのかもう一度見てみましょう。
「氏名」「住所」「電話番号」「メールアドレス」「生年月日(年齢)」「職業」ここには,健康の状態についてもきかれていますね。こうしたものは「個人情報」と呼ばれています。
もちろん,プレゼントにあたった人には,書きこんだ住所にプレゼントが送られてきますから,住所や名前や電話番号はなくてはならないですね。』 プレゼントを送り終わった後,このプレゼントに応募した何千人・何万人の人のデータは,どうなるのでしょう? 子どもたちは,「考えたことない」「ダイレクトメール送ったらすてる。」という答えが返ってきた。 ここでは,パワーポインを使用しで,図式を示し,次のように説明した。
『プレゼントや懸賞にはたくさんの人が応募しますね。その人達の個人情報は,データとしてまとめられていろいろな会社へ売られています。そのデータから必要な物だけを取り出してダイレクトメールの宛名などに使われています。
 みんなのところに届くダイレクトメールや電話でのセールスはこうやって調べているんだよ。』 子どもたちは「知らなかった。」と口々につぶやいていた。
 第二話 恋人募集中?? (リカコさんが,個人情報(電話番号や写真などを掲載した家族紹介のHPを公開する話)

 『リカコさんは家族紹介の
HPを公開しましたが,何か問題はないでしょうか?』
 子ども達からの意見は,「いたずら電話がかかって来るから危ない。」「写真がのっているから危ない。」という意見が出た。
 『では,続きを見てみましょう。(リカコさんの姉が携帯に変な電話がかかってくるというので調べてみたら,出会い系の
HPに勝手に「恋人募集中」と掲載されていた。)』
 ムービーの内容を確認しながら,『そうだね。ホームページに使われた写真は簡単に自分のパソコンに取りこむことができるね。インターネットは,世界中の人が見るから,そこに個人情報が載るとそれを使って悪いことを考える人がいるかもしれません。危険ですね。』
第三話「あの子ってさぁ」・第四話「ラーメン屋」
 『次は,みんなが他の人に迷惑をかけないように気をつける点について考えてみます。』
 第三話では,ネット上の掲示板への書きこみが取り上げられていることから,実物を見せて,街中の掲示板と違って書いてある内容に対して自分の意見を返すことができる,と説明した。
 『自分の書き込んだことがそのままネット上に公開されるから,たくさんの人が見ることになります。すごいよね。しかし,だからこそ,気をつけなければならないことがあります。』
(このムービーは,誹謗中傷について取り上げ,交流している学校の掲示板に友だちの悪口を書きこむカオルさんとクミコさんのお話となっている。)
 『さて,カオルさんとクミコさんのしたことは,どこが問題なのかな?
○人の悪口を書き込んだからいけない。
○掲示板だからたくさんの人が見る。
 『掲示板に書きこんだ悪口は,世界中で読まれるかもしれないね。かかれた人は,とてもいやな思いをします。そして,その人の名誉が傷つけられてしまいます。このように人の悪口をいったり名誉をきずつけることを「誹謗中傷」といいます。』
 『次の場合はどうだろう?(リカコがホームページの中にラーメン屋の悪口を書いて,講義を受けるという話) 大変なことになりました。』『何がいけなかったのでしょう?
○あることないこと書いてしまった。
○お店の評判がガタ落ちになった。
○お店に人が行かなくなって,お店の人が困る。
 『いやなことを言われたりするのもとてもいやですが,それが,文字となってインターネットに公開されるなんてもっといやなことですね。チカコさんは,ラーメン屋の悪口を書いたために訴えられそうになりました。ちょっとした思いつきでやってしまったことも,内容によっては,相手を傷つけたり,怒らせたりしてしまいます。こうしたことは掲示板やホームページに限ったことではありません。メールも同じことなんだよ。インターネットを気持ちよく使うために一人一人が気をつけるマナーなのです。
 インターネットの事件は,こんなに増えている!
 授業のまとめとして,ここ3年間のインターネット上の事件について,警察に相談された件数をグラフで示し,事件が増加傾向にあることを示した。
 『世の中では実際に多くの事件が起こっています。事件の数は毎年増えています。警察に相談された数を調べたら,平10成年は,2,965件,11年は11135件です。3倍くらいに増えていますね。12年度は17277件です。(グラフを見せる)
 今日学習したこと以外にも,インターネットにはたくさんの危険があります。自分が被害にあうこともあるし,知らない間に,自分が他の人に迷惑をかけてしまうこともあります。こうした危険があることを知って,上手にインターネットを使ってほしいと思います。
〈参考〉ネット社会の歩き方
http://www.net-walking.net/gaku-unit-v031/index.htm